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2024年7月第1週の編集人コメント

先週の編集人コメントで、サービスについて述べた。その中で、LCC航空のパイオニアである米サウスウエスト航空の顧客サービス重視の話を披露した。今週は、書き足りなかったこの話の続きをレポートしてみたい。

 

サウスウエスト航空では「People first(人こそ第一)」の企業文化を掲げており、従業員を「Cohearts(コーハーツ)」と呼び、従業員や地域社会を大切にしている。

 サウスウエスト航空のサイトの「Our People」には、こう書いてある。

 

私たちのスタッフ(Our People)

「人こそがサウスウエスト航空の鼓動であり、これまでもこれからも変わることはありません。私たちは、人々を支え、彼らが人生で最も大切にするものとつながるお手伝いをします。当社の『人』に対する取り組みには、従業員、お客様、地域社会、そして社会的に重要なテーマへの視点が含まれています。」

企業文化と従業員体験

「サウスウエスト航空は、社員第一主義のホスピタリティと伝説的な企業文化で知られています。私たちは社員と地域社会を大切にし、社員は互いを大切にします。」

 「当社の文化は誇りであり、当社の核心です。私たちは社員のユニークな視点、スキル、経験を奨励し、評価します。社員一人ひとりは、在職期間や役職に関係なく、私たちの『思いやりの文化』を育む責任を負っています。社員は自分らしくいることを奨励され、独自の視点、スキル、経験を日々の仕事に活かしています。従業員は、サウスウエスト航空のすべてのお客様に対して社外でも共有することが期待されているのと同じ関心、敬意、思いやりの態度で組織内で扱われます。」

 

日本のお家芸ともいえる「ホスピタリティ」とか「おもてなし」の精神について、サウスウエスト航空は、1971年創業以来、半世紀以上も従業員に叩き込んでいるから驚きだ。

 

従業員の採用にあたっては、殊の外面接を重視している。採用面接には必ず経営幹部が出席し、応募者のサービス精神が旺盛で情熱的であるかどうか、そのようなDNAを持っているかをチェックする。応募者には、短いコントのオーディションまで受けさせると聞いたことがある。うかつにも、「そんなアホな、馬鹿らしい」というような態度をとるものなら、その募者は採用されないことになる。

 

これは、サービス提供者である従業員の価値を最大にすれば、顧客満足度が高まるという考えに基づいている。これは、先週のコメントでも触れた、サービスマーケティングの重要構成要素の一つである「消費と生産(販売)の同時性」と一致する。

従業員(すなわち電話予約係、空港接遇エージェント、客室乗務員など)が実際の顧客サービスの生産者であるので、まさに彼らが提供するサービスが、サウスウエスト航空の輸送商品の品質の良し悪しを決定するという考えだ。

従業員ファーストのスタッフたちのグッドサービスによって、サウスウエスト航空は、J.D. Power 2024 North America Airline Satisfaction Studyのエコノミークラス顧客満足度調査で3年連続トップに選ばれている。

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