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2024年 2月第2週 の 編集人コメント

 

今週のニュースには、コメントを書くほどの、目ぼしい記事が見当たらない。

 

強いて挙げるならば、「2. Phocuswright、旅行業界のイノベーションとテック2024年ガイド」が印象に残った。この記事の中の 「誰が顧客プロファイルを保有しているか ― 顧客?」 のセクションで、航空の遅延増大の対処策として、航空会社や空港における生体認証システムの導入が進んでいると述べている。さらに、SSI(自己主権型アイデンティティ)が定着し始めていることについても述べている。

 

5. 航空業界の幹部たち、フライトの混乱増加に備える」と「7. 航空会社の技術責任者、AI投資を優先」の記事も、航空会社のバイオメトリックス認証関連の投資が増加していることを伝えている。世界の航空会社は、よりスムーズなオペレーションを目指して、搭乗旅客の認証を自動化している。

 

航空便のスケジュール混乱は、顧客に取って極めて大きなペインポイント(痛点)であり、これを改善すれば、ブランドロイヤリティを更に高めることができる。つまり、どんなコスト削減よりも定時性の改善の方が重要であると言っても過言ではない。

とは言っても、スケジュール混乱を回復させるためにかかる追加のコストも膨大となる。

 

航空会社は、スケジュール混乱時の顧客対応が、あまりにも劣悪だ。便の欠航や遅延時に立ち往生した搭乗旅客の再予約などの対応をもっと改善して欲しいと常々考えている。

 

欧州では、規則EU261/2004によって、航空会社にその責任がある場合は、欠航と3時間以上の大幅遅延が発生し便の搭乗旅客に250ユーロから600ユーロの補償金の支払いを義務付けている。

 

一方、米国では、オーバーブッキングによる搭乗拒否以外、補償金の支払い規則は存在せず、該当便の航空運賃の払い戻しが基本となる。

 

日本では、航空便の欠航や遅延時の補償について明確な法的義務はないが、各航空会社が定める運送約款(契約条件)に基づいて対応が行われる。

国内線では、悪天候・自然災害・ストライキなどの不可抗力による欠航・遅延の場合、振替便の提供と払い戻しを除いて、基本的に補償義務を負わない。

航空会社側の責任による欠航(機材故障や乗員手配ミスなど)の場合は、宿泊・食事の提供や宿泊・食事の提供などの追加の対応がされることがある。

国際線では、「モントリオール条約」(日本も加盟)に基づき、航空会社が補償義務を負う場合がある。遅延による損害賠償として、乗客が実際に被った損害(ホテル代や食事代など)について、最大約16万円(1,288SDR)まで請求可能。EU発着便の場合は、上記のEU261規則が適用される。

また、クレジットカード付帯保険や海外旅行保険で、航空便遅延補償が含まれていることがある。4時間以上の遅延で食事代や宿泊費として、1回の遅延につき2〜3万円程度を補償する場合がある。

 

自分が勤務していた当時の日本航空では、安全性と定時性に加えて最高の顧客サービスの提供の「3つのS (Safety, Schedule, Service)」を社是としていた。

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