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2024年 10月第3週 の 編集人コメント​​

今週は、「7. 旅行業界でコマースメディアが流行している」と「8. なぜUberがExpediaを買収しない、Amazonがすべき」 の2つのニュースに注目したい。

 

7. 旅行業界でコマースメディアが流行している

ユナイテッド航空をはじめ、ExpediaやBooking.com、Marriott、Uberなどが、旅行コマースメディアを活用してウェブサイトやその他のチャネルからのトラフィックを収益化していると伝えている。わずか2年前に立ち上げられたUberのコマースメディアは、年間収入が10億ドルのビジネスになっているという。

 

Expediaの損益計算書には、2023年のAdvertising and mediaの収入が4.8億ドル(前年比23%増)計上されており、全収入の約4%を構成する。2024年上半期では、約3億ドルとなっている。前年同期比では36%増と大きな増加を遂げている。Booking Holdingsでは、2024上半期のAdvertising and other revenuesが約5,3億ドル(前年同期比5%増)計上されている。これは、総収入の5.2%に相当する。費目に「other revenues」とあるので、広告以外の収入が含まれていると思われる。

 

大きなトラフィックを持つ旅行サイトが、そのトラフィックをてこに、自社サイトにおける広告収入を増やしている。ExpediaやBookingは、Googleなど大手検索エンジンに巨額の広告を打っているが、自社サイトを使ってGoogleなどと同じように広告収入を稼いでいるのだから面白い。されど、広告費の10%〜15%程度しか取り戻せていない。

 

8. なぜUberがExpediaを買収しない、Amazonがすべき

Expedia GroupをUberが買収する可能性が銀行家たちの噂話になっているらしい。

しかし、総合トラベルマーケティング企業MMGYGlobalの元CEOは、Uberによる買収は、戦略的には誤りかもしれないといっている。Expediaとの統合はUberの事業とは異なる性質を持っているというのだ。技術的な統合やビジネスモデルの違いも課題となるという。そして、それよりも、AmazonがExpediaを買収する方がよっぽど良いといっている。

 

今まで、旅行には決して手を出していないAmazonが、Expediaを買収するなんて、にわかに信じられない。

旅行業のオペレーションのロジスティックが複雑だ、旅行の購入頻度が極めて低い、移り気で気まぐれな旅行者の旅行動機が千差万別である、消費者(旅行者)が求める商品のマーケティングが難しいことなどが、今までAmazonが旅行業に参入しない理由だといわれている。Googleだって参入していない。旅行、コトの販売は、Amazonが得意とするモノの小売とは全く異質なのだ。

旅行会社のコンソリデーションには、同じ旅行業を営むUberとExpediaのM&Aの方が理にかなっているように思える。それにUberのCEOである Dara Khosrowshahiは、元Expedia GroupのCEOである。直感的には、Uber + Expediaに分がありそうだ。

それよりも、日本の旅行業者による買収の方が、遅れているグローバル戦略展開には打ってつけとならないか。

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