top of page

2024年 12月第2週 の 編集人コメント

 

11月4日本経済新聞朝刊「“AIエージェント”続々登場 仕事の進め方変化迫る」が、「人工知能(AI)が人の具体的な指示なしに自律的に仕事を進める“AIエージェント”が広がっている。AIによるパソコンの自動操作や、企業のAIエージェント開発を支援するサービスも登場。AIが『仕事の相棒』として、オフィスの業務効率化やパーソナルな仕事の進め方を大きく変える可能性がある。(中略)今秋、国内外でAIエージェントへの参入が相次ぎ『AIエージェント元年』の声も聞かれる。米国では顧客情報管理(CRM)ソフト大手のセールスフォースが9月にエージェント機能に重点を置いたAI戦略を発表。マイクロソフトは10月にAIエージェントの提供開始を発表した」と書いている。(許諾番号 30102808)

 

旅行業界でもAIエージェントが登場しつつある。PhocusWire Dailyが、毎日のように、生成AIの旅行テックへの応用を書いている。

旅行のコンシェルジュ(総合お世話係)たるAIエージェントの登場によって、旅行業界の長い間の懸案事項である「パーソナルな旅行体験」を提案し、「つながる旅行(コネクテッドトリップ)」をつくりつつある。そしてこの「パーフェクトトリップ」をきっと完成してくれるはずに違いないと思っている。

 

生成AIの大規模学習モデル(LLM)が、膨大なデータを学習して、タビマエの旅行計画から実際の手配、そしてタビナカの目的地のT&Aの体験まで、エンドツーエンドのパーソナルな旅の何から何までを、お世話してくれるだろう。

 

そうなれば、既存の旅行流通業者のビジネスの将来はどうなってしまうのだろうか? AIエージェントに取って代わられてしまうのではないのだろうか?とかねがね疑問に思っている。

 

まさにその疑問をズバリ問いかけている「1. AIエージェントと将来のOTA」が、今週のニュースの中にあった。

コンテンツのチャネルマネージャーであるMagpie のCEOが投稿したこの記事は、「AIエージェントは最適な選択肢を提案し、OTAの根本的優位性を脅かす。OTAも適応する可能性があるが、5年後のOTAは現在の姿とは大きく異なるものになるだろう」と述べている。

 

また、「2. Steve Singh、古風なシステムから完璧旅行への進化について語る」の原文にある動画(QRコード参照)では、ベンチャーキャピタリストであり、主にTMCなど10数社の役員を務めるSteve Singhが、業界を「パーフェクトトリップ」に近づけるためのオープンシステムとクラウドテクノロジーだけでなく、AIエージェントに可能性があると、11月19日に開催されたPhocuswright Conferenceのセンターステージのインタビューで語っている。

 

文字起こしアプリを使って、この動画を読み解いたところ、彼の主張は以下であった。

  • 予約や旅行管理の方法も進化し、例えば会話型インターフェースによる旅行予約やトリップマネジメントが一般化する。

  • クラウドアーキテクチャやオープンAPIが進化した今、「パーフェクトトリップ」の実現は近い。2~5年以内には旅行体験の大きな向上が期待される。

  • AIを活用した次世代のTMCは、コスト構造を大幅に削減しつつ、より優れた旅行者体験を提供できる可能性がある。

  • 2025年末までには、コスト削減の目標を達成した運営が実現する。

  • 現状のリーダーたちがそのまま未来を支配すると考えていない。これまでの技術革新の波を見ても、新しいリーダーたちが登場するのは明らかだ。

 

この二つの記事を読んでみると、トラベルテックの技術革新が、次世代の旅行流通を定義することになるようだ。それもかなり近い将来に……。

+++++

bottom of page