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2025年、7月第3週の編集人コメント

 

「7. Instagram Google統合、旅行マーケティングのゲームチェンジ

この記事を要約すると次のようになる。

2025年7月10日、Instagramはプロアカウント(観光業者を含む)の公開投稿をGoogle検索にインデックス化させることを発表。これにより、Instagramは「ウォールドガーデン(閉じたSNS)」から「検索可能なコンテンツの宝庫」へと進化し、特にビジュアルが重要な旅行業界のマーケティングにとって大きな転換点となる。

旅行業界(観光業者)にとっては、SNSとSEOを統合したコンテンツ戦略の構築が不可欠となる。この統合は単なる技術的変化ではなく、マーケティング戦略の前提を根底から覆す「ゲームチェンジャー」と位置づけられる。

 

ではなぜ、MetaはInstagramのウォールドガーデンを解放し、ソーシャルから検索流通へと踏み込んだのか? なぜライバル関係にあるMetaとGoogleが手を組んだのか?

 

その背景には、Googleからの新規トラフィック流入によってInstagram全体の広告媒体価値が向上するという期待がある。加えて、TikTokとの競争上も、Google検索という「外部発見チャネル」を味方につけることは大きなアドバンテージとなる。

Instagramのプロアカウント投稿者にとっても、自らのコンテンツがGoogle経由で可視化されることで、投稿の広告宣伝価値が上昇し、直接予約(直販)につながるメリットが生まれる。特に小規模サプライヤーにとっては、検索露出の機会を得る貴重な手段となる。

一方、Googleにとっては、AI検索時代に向けた準備として、Instagramのリアルで視覚的な旅行コンテンツが極めて魅力的だったと考えられる。

 

では、なぜこれが「ゲームチェンジ」なのか?

それは、旅行のコンシューマージャーニーにおける「インスピレーション」(旅への誘い)と「アクション(予約)」が一気通貫で結びつく可能性を持つからだ。

  • 「見て憧れる」(=インスピレーション) → Instagramの役割

  • 「調べて決める」(=検索・比較) → Googleの役割

これまでは分断されていたこの2つが、今回の統合で1つの導線として機能する。
その結果として、これまで「ただのビジュアル体験」にとどまっていたInstagram投稿が、「今すぐ行きたい・予約したい」という購買行動の起点になり得る。これは、マネタイズが難しかった旅マエ段階の購買ファネルのコンバージョンを高める、構造的変化である。

 

さらに、従来のGoogle検索結果は、大手OTAやチェーンホテルが資金力と技術力で支配していた領域だった。しかし今回、Instagramが、Googleの検索インデックスに参加することで、小さなB&Bや個人経営の体験提供者でも、魅力的な写真とストーリーがあれば検索上で発見される可能性が開かれる。

SEOや広告に頼らず、「感情で伝わる」ビジュアル投稿が武器になる。これも、旅行業界におけるマーケティング構造のディスラプション(破壊的変化)であり、まさにゲームチェンジと言えるだろう。

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