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2025年7月第4週の編集人コメント

 

「5. Order管理システム、コネクテッドトラベルの新時代の構築方法」が、

Order管理システム(OMS)によって、次のような変革が可能になる:

(1) 航空券や手荷物だけでなく、保険、レストラン、コンサートなども一つの注文にまとめられる。

(2) 複数の航空会社や旅程、支払手段を一つのOrderに集約可能で、グループ旅行も簡単になる。

(3) 旅の途中でサービスの追加・変更がスマホで可能。たとえば、搭乗後にビジネスクラスへの変更もできる。

(4) 遅延などが発生しても、連携するタクシーやホテルに自動で通知・再調整され、旅行者には選択肢が提示される。

(5) 搭乗券や確認メールの代わりに、動的な「journey pass」により、顔認証やパスポートと連動したスムーズな体験が実現する。

「Order」への移行は、航空業界における情報管理とサービス提供の在り方を根本から変える技術革新である。これをAIやクラウドと組み合わせることで、より良いつながった旅行体験が可能になる。従来は予約(PNR)・発券(チケット)・EMD(有償付帯サービス)といった複数の記録が、それぞれ別のシステムで管理されていたが、それらをすべて一元化し、「Order」という一つのデジタル記録として生成・管理できるようになる。

それにもかかわらず、この記事で「One Order」という言葉が一度も使われていないのはなぜだろうか。理由としては、OMSが依然としてPSS(Passenger Service System)というレガシーシステムとの融合を果たしていないこと、またNDC(Offer)やOMSが業界の一部にとどまり、いまだ広範に実装されていないことが挙げられるだろう。

将来的には、NDC+OMS+PSSを一体化した新たなシステム構造の確立が必要になると見られるが、現在の開発の進捗状況を勘案すると、それが実現するまでにいったいあとどのくらいの時間がかかるのだろうか。

 

IATAは、2030年までにOrder主導の流通が主流になるという。ただし、PSS撤退までにはさらに数年かかるとし、「20年がかりの業界構造転換」が必要になると位置付けている(2015〜2035)。(出典:IATA「One Order Vision Paper」「Modern Airline Retailing Programs」)

 

「8. Accelya、Amex GBT、Sabre、NDC 採用促進で提携」は、

「・・・IATAは2年以上前にNDCのビジョンを更新し、航空会社がOne ID標準とオファーとオーダーを通じて2030年までにより現代的な小売に移行する方法のロードマップを策定しました。

Accelyaは、この最新の取り組みは商業的な取り決めではなく、「現代の航空会社の小売を加速するための共通のコミットメント」であると強調しています。

同社は今年初めに、NDCの採用は進展しているが、オファーとオーダーに向けて大きな一歩を踏み出した航空会社はほとんどないと述べた。・・・」と言っている。

 

「16. Google親会社Alphabet、AIと広告好調で予想を上回る増収達成」が、Alphabetの2024年第2四半期好決算を伝えている。AIと広告事業の好調を背景に売上が前年比14%増の964億ドルと予想を上回った。AI検索機能「AI Mode」や「AI Overviews」が世界中で拡大し、検索クエリや商用クエリの増加に貢献したという。Geminiの利用も急増し、AI活用が全事業に波及。広告収益も好調で、検索の収益化も維持している。

 

これまで、「AIによって従来のテキスト検索が会話型に置き換わることで、Googleの広告収入は減少する」と言われてきたし、自分自身もそう信じていた。だが、ふたを開けてみれば、AIの導入がむしろ既存の広告収入モデルの増収に貢献しているというのだ。

 

Google Overviewsが、既存検索モデルにおけるCTR(クリック率)の上昇や広告収入の拡大に寄与しているという。それに加え、「AI Mode」のサブスクリプション利用も大幅に増加している。

今後、Googleがエージェント型AIの開発をさらに強化していけば、AI新時代においても盤石の市場のリーダーとして君臨し続けるのだろう。同社の第二四半期決算は、そうした未来を強く予感させる内容となっている

Sundar Pichai CEOは、「agentic experiences(エージェント型AI)」が今後さらに普及し、主流になるとの見方を示している。すでにAgent Development Kit(オープンソース)を提供し、 さらに企業向けのチャット・検索・エージェント構築プラットフォームであるAgentspaceの展開も進めている。

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