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2024年 4月 第2週 の 編集人コメント

 

10. デルタ航空、サービス中心NDCソリューション導入」が、米ビッグ3で唯一NDCを利用していなかったデルタ航空が、サービスに焦点を当てたNDCを立ち上げるといっている(正確にはパンデミックで中止していたNDC開発の再開)。

GDSサーチャージ導入や、一部の割引運賃のGDS経由販売中止などは、実施しないといっている。

 

欧米メジャーのNDC対応が出揃った後に、最後に彼らとは異なる独自のチャネリング(販売経路)を打ち出しているデルタ航空の「したたかさ」が窺える。他社とは異なる大胆な戦術で、TMC経由の法人旅行需要をしっかり頂いてしまおうという魂胆なのだろう。

 

チャネル(販路)は、4Pの一つであるPlacing(流通)に分類されているマーケティングの基本戦略でもあると記憶している。

     Product                        商品戦略

     Pricing                         価格戦略

     Placing                         流通戦略

     Promotion                    販促戦略

 

 インターネット時代になってから、そのPlacingもオンラインに大きく変わってしまって、今では4Cともいわれている。

     Customer Value          顧客感知価値

      Cost                           顧客負担コスト

      Convenience               顧客利便性

      Communication           顧客との会話

 

つまり、企業主体でなく(プロダクトアウトでなく)、顧客を主体としてマーケティングを考える時代になっているのだ。よく「顧客目線で」といわれているゆえんだ。

そういえば、旅行でも「旅行者の“パーソナライゼーション”を重視しろ」と叫ばれている。「顧客と目線を合わせる」ために、客室乗務員に、搭乗旅客と会話する場合はできるだけ通路にひざまずけと教えていたとしたら大間違いだ。「目線を合わせる」とは顧客の気持ちを斟酌して、おもてなしの精神を発揮しろといっているのだ。「形」から入ってはいけない。

 

デルタ航空の話に戻そう。TMC(法人旅行管理会社)は、さぞかし喜んでいるだろう。デルタ航空が直販最優先でなく、中抜きしないというのだから。デルタ航空は、したたかなチャネリング戦略に加えて、地政学的変化、自然災害、サステナビリティなど、法人旅行者の出張旅行の善管注意義務(duty of care)には、仲介業者であるTMCの知見が必要だと考えているのだろう。

 

それに加えて、全旅程をシームレスにつなぐコネクテッドトリップへのTMCの対応も考えられる。企業のトラベルマネージャーだって、TMCを排除して手数料の支払いをなくし、コスト削減ができるはずなのに、あえてそうしていない。これも出張者の旅の安全の確保のためなのか。

 

パンデミックが、TeamsやZoomなど電子会議システムを普及させ、法人旅行需要は大きく減少すると数年前にいわれていたが、最近の連続するこの市場活性化の報道を読んでいると、需要が戻って来ているようだ。

 

一方、3月第5週 「2. AmexGBT、5.7億ドルでCWT買収」、4月第1週「3. Concur創業者と投資家たちがDirect Travelを買収」などTMCのM&A報道が続いている。

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