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2024年 8月第5週 の 編集人コメント​

法人旅行市場が活況だ。 

11. Flight Centre Travel Groupの法人旅行収入2倍成長」の記事が、この法人旅行管理会社の6月30日までの年度決算で税引前利益30%増を達成したと伝える。昨年12月に設立したAI Centre of Excellenceも、この増益に貢献している。

 

12. 注目CEO : SpotnanaのSteve Singh」は、法人旅行管理のテック企業群を編成しているという。彼は、ConcurをSAPに売却(2014年)して以来、Direct Travel、Spotnana、Center、Troopなど法人テック企業を買収している。そして、法人旅行のAIエージェントを開発中のスタートアップOttoにも投資した。Singhは、航空+ホテル+地上輸送をつなげる“Perfect Trip”のビジョンを追求している。

 

AmexGBTも、Expedia Groupの法人旅行管理会社Egenciaを買収(2021年5月)し、CWTを買収計画中(2024年4月)である。

 

何やらグローバル法人旅行管理の市場の競争が激化しているようだ。

この競争の勝敗の鍵を握るのは、トラベルテックの優劣となるのだろう。

 

Phocuswrightによれば、出張規定(トラベルポリシー)を持っているのは、ほとんど大企業に限られているという。中小企業(SME= small and medium enterprise)で出張規定を持っている企業は多くない。Phocuswrightは、中小企業の出張を、非管理旅行(unmanaged travel)として、グローバル大手企業の出張(managed ravel)と区分している。

トラベルテックが進化して、中小企業の法人旅行管理の機械化が進めば、TMCの商圏もきっと大きく広がるに違いない。

 

3. Multion、旅行のAIエージェント開発に焦点」は、スタンフォード卒の2人が、2023年に興したスタートアップで、旅行AIエージェントの開発を最優先にしているといっている。そしてGeneral Catalystなどビッグネームの投資家たちから資金を集めている。

 

旅行AIエージェントでは、Expedia GroupのRomie、Booking HoldingsのAI Trip Planner(他にKayak、OpenTable、PricelineのAIエージェント)、Trip.ComのTripGenie(「9. Trip.comのWei:旅行プロダクトリーダーたちの黄金時代」)などがある。

いずれもグローバルOTAの大手プレイヤーたちだ。生成AIが開発されて、次世代の検索方法が誕生すれば、OTAのような仲介業者などはたちまち中抜きされてしまうなどと勝手に思っていたけれども、何のことはないOTA自らが自前のAIエージエントを真っ先に開発している。AIエージェントによってダイレクトアクセスを増やし、Googleなどゲートキーパーたちに払っているパフォーマンスマーケティングの莫大な広告費を削減するのだろう。中抜きどころか、ゴーイングコンサーン(継続性のある企業)としてのビジネスモデルの進化を、極めてアジャイル(機敏)に試みているとは、なんとも素晴らしい。

 

トラベルテック、なかんずく AIトラベルエージェントが、旅行流通に革命を起こしている。

 

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