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6月 第5週 の編集人コメント

 

サービスって、いったいどのように理解したら良いのだろうか?

何となく漠然と分かっているけれども、しっかり定義して理解できていない感じがしている。同様に、マーケティングという言葉も、よく使われているものの、どうもしっかり理解できている人たちは少ないように感じている。

 

マーケティングの話は、4月第2週[ケサ1] [HU2] の編集人コメントでちょっと触れたが、ここでは、サービスをはっきりさせてみたい。

 簡にして要を得るために、サービスを、「おもてなし」とどう違うのか? から整理してみよう。

 

「サービス」の概念と「おもてなし」の違いについては、文化的な背景や提供の方法に関して微妙な違いがあるが、どちらも顧客に対して価値を提供するという共通点がある。以下にそれぞれの概念を詳しく見てみよう。

 

サービス(Service)

サービスは、顧客に対して無形の価値やサポートを提供する行為全般を指す。多くの業界で使われる言葉で、顧客サービス、接客サービス、人的サービスなど、さまざまな形態がある。

  • 顧客サービス:顧客のニーズや問題を解決するために提供されるサポートやアシスト(例:カスタマーサポート、FAQの提供)。

  • 接客サービス:特に飲食業や小売業で、顧客に対して直接的に行うサービス(例:レストランのウェイター、店舗での案内)。

  • 人的サービス:サービス提供者(スタッフ)が関与する形態で、個別の対応やケアが求められる(例:医療サービス、教育サービス、ヘルスケアなど)。

このように、サービスは基本的に顧客に便利さや効率性を提供するための手段であり、特定の問題を解決したり、あるいは顧客の期待に応えることを目的にしたりしている。

 

おもてなし

おもてなしは、日本文化に根ざした特別なもてなしの精神や態度を指す。単にサービスを提供するだけでなく、顧客の期待を超えた配慮を提供し、心からの思いやりが込められているのが特徴である。

  • 一歩先の配慮:顧客が要求していない、または予想していないニーズを先回りして満たす(例:お客様が入店する前に席を温めておく、気になる点を事前にフォローするなど)。

  • 心のこもった対応:単なる手続きや対応だけでなく、顧客一人ひとりに寄り添い、個別の気持ちを尊重すること。

  • 礼儀と尊敬:日本の伝統的な礼儀を基にした、相手への敬意を表す行動が根底にある。

おもてなしは、サービスを超えて、顧客の心に残る特別な体験を提供することに重きを置いている。言い換えると、「心のこもったサービス」とも言えるだろう。

 

サービスとおもてなしの違いについて、ChatGPT-4oは、次のように整理した。

目的:

  1. サービスは「ニーズを満たすこと」や「問題を解決すること」が主な目的。

  2. おもてなしは、期待を超える体験を提供すること、そして顧客に対する特別な心遣いが中心。

アプローチ:

  1. サービスは通常、効率的に問題を解決することが求められる。

  2. おもてなしは、温かさや細やかな配慮を重視して、顧客に心地よい体験を提供する。

例:

  1. サービス:電話でのカスタマーサポート対応、商品の修理。

  2. おもてなし:料亭での、顧客の好みに合わせた料理の提案、ホテルの従業員が客を迎える際の心配り。

まとめ:

  1. サービスは、効率的に顧客のニーズを満たす行為やサポートを指す。

  2. おもてなしは、そのサービスを超えて、心からの配慮と特別な体験を提供する、より深い意味を持つ行為。

おもてなしは、日本独自の「精神性」や「思いやり」が強調される部分であり、サービスとはその質や感情的な深さに違いがある、とChatGPTはいっている。

 

LCCのビジネスモデルを開発した サウスウエスト航空(1971年設立)は、殊の外サービスを大事にしたことで有名である。ノーフリルの低運賃航空会社が、サービスを大切にしたとは何とも矛盾した話のように聞こえるが、ノーフリルサービスだからこそ、サウスウエスト航空は従業員のエンゲージメントを重視し、フレンドリーで親しみやすい接客を提供した。

 

サービスマーケティングでは、サービス商品の本質的特徴を次の4つにまとめる。

  1. 無形性

  2. 消費と生産(販売)の同時性

  3. 顧客との共同生産

  4. 結果と過程の等価的重要性

 

無形な商品だからこそ、フロントラインの従業員(航空カウンターの接遇要員や客室乗務員)がつくり出すサービスを重視した。

 消費と生産が同時に行われ、やり直しが効かない(物の商品のような返品ができない)。だからこそ、従業員のサービス生産能力の向上にこだわった。顧客との共同生産であるがゆえに、顧客とのコミュニケーション能力を高める必要があった。

 

そこで、「従業員ファースト」の会社の文化をつくり上げた。顧客第一主義ではなくて、従業員第一の社内文化をつくり上げた。

 

その結果もあって、サウスウエスト航空は就航2年後の1973年(以降、2020年のCOVID-19パンデミックまで47年間も連続で黒字を計上する驚異的な記録を樹立した。

 

サウスウエスト航空を創業したのは、Herb Kelleher(弁護士)と Rollin King(パイロットであり実業家)である。

彼らは、実によくサービスマーケティングの何たるかを熟知していたと思われる。

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