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2024年 8月第4週 の 編集人コメント

​​ 世界の体験観光市場が伸びている。「1. 体験業界リーダー、変化の中で成長余地を見る」によれば、総取扱高が現在の2,500億ドルから2028年には1.4倍の3,500億ドルになると予測されている。

旅行市場全体の25%弱になるのだろうか。旅行の本来の目的は、目的地おける体験(experience)と活動(activities)にあるのだから、T&A市場が大きく成長するのは当然だ。旅行会社は、この市場のシェアを奪おうと、あの手この手を労している。

​ 余談であるが、Experienceを体験と和訳しているが、時々は経験と訳した方が良い場合もあるのでややこしい。自動翻訳機では、「経験」と「体験」をその場のニュアンスに合わせてうまく使い分けて訳してくれない。「Booking」という固有名詞を、「予約」と自動翻訳してしまうから大弱りだ。

今週のニュースの中では、この「体験」について、以下の記事が目についた。

 

5. Klook、ソーシャルアプリ経由の体験予約でTikTok利用」は、体験業界リーダー大手のKlookが、TikTokと提携して販路を拡大していると伝える。TiqetsのCEOであるLaurens Leurinkは、体験販売の強化は、コミュニティーツーリズムによってオーバーツーリズムの解消策にもなり得るという。

 

10. 旅行ソーシャルコンテンツは一部消費者をより強く動かす​」が、旅行とソーシャルメディアの関係を解説したPhocuswrightのレポートを紹介する。

 

 この2つのニュースは、ソーシャルネットワークと旅行のマーケティングの密接な関係について述べている。

3月第3週の編集人コメントでもSNSを利用したインフルエンサーマーケティングの重要性について触れている。

 

また、5月第3週の「7. Expedia Group、新AIアシスタントとクリエーターショップ立ち上げ」では、インフルエンサーが旅行推奨を通じて手数料を稼げるマーケットプレイスTravel Shopを導入したと伝えている。

 

8. ホスピタリティ小売テック、究極のゲスト体験の実現に挑む」は、体験というよりも、ホテルのアンシラリー販売について書いている。宿泊以外のホテル内の施設の体験(つまりホテルにとってのアンシラリー)を、もっと販売しろといっている。

​ RevPAR(Revenue per Available Room)よりRevPAM(Revenue per Available Meter)を優先させろといっている。

ホテルが、敷地内のアンシラリー販売に加えて、以前からコンシェルジュが案内している敷地外の体験販売を強化すれば、本当の究極ゲスト体験となるのだろう。

 

6. アラスカ航空、Expedia Groupで新たな宿泊予約」は、アンシラリー販売の先輩格の航空会社では、OTAなどと提携して、ホテルやレンタカーの販売にも力を入れているという。

究極の体験には、もちろん生成AIによる旅行エージェントの開発が不可欠となるのだろう。

 

​ 「9. 法人旅行スタートアップOtto、AIエージェントで600万ドル調達」のように、法人旅行だって、AIエージェントを開発中だ。このようにどんどんAIエージェントが開発されていけば、既存の旅行代理店(OTAやTMC)は、中抜きされてしまうことになり、自縄自縛となってしまわないのだろうか?

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もう一つ、印象に残ったのが「4. Wizz Air マーケティングギミック、航空排出量規制強化の更なる必要性を示す」である。

Wizz Airのサブスクリプションのフリークエントトラベラーに課税しろとまでいっている。

航空業界の遅い地球温暖化対策を戒めると同時に世界的な規制の欠如を嘆いている。

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