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1月20日の週の編集人コメント

 

最近、“消費者洗浄(consumer washings)” という言葉が、PhocusWire Dailyで散見される。“greenwashing” という言葉は何回も聞いたことがある。電子辞書にも「〔企業・組織による〕偽善的な環境への配慮、環境保護に取り組んでいると世間に思わせるために偽りの情報を流布すること」とちゃんと載っている。しかし、このconsumer washingsは聞いたことがないし辞書にも載っていない。

OpenAIのChatGPTに聞いてみたら、「価格設定や消費者心理の操作に関連する言葉である可能性が高いが、マーケティングの一般的な用語としては認知度が低い。・・・」と回答した。

 

Travelport最新レポートが、旅行小売の将来予測の一つに、この言葉を引用している(「5. 旅行は転換点なのか?」)。 曰く:

「・・・“消費者洗浄(consumer washings)” が蔓延している。しかし、それに気づいている買い物客は、より良いサービスを装って、より多くの収入を得るために企業が使用するこの戦術に対して賢くなっている。旅行では、隠れた料金(hidden charges)や「ジャンク」料金につながる紛らわしい価格体系が、これに含まれる。Travelportの新しいレポートの調査結果によると、44%の人が、旅行業は誤解を招く価格設定による「消費者洗浄」の罪を犯していると考えている。・・・」

 

また、1月2日の「7. 旅行産業リーダーたちの2025年展望」も、TravelportのCEO Greg Webbが、消費者洗浄に関してコメントしている。曰く:

「・・・透明性は消費者の信頼を高めるための旅行業界の努力の中心となるだろう。旅行における唯一の長期的で商業的に持続可能なビジネスモデルは、顧客の生涯価値に焦点を当てたモデルである。言い換えれば、旅行業界は、最低運賃を追いかけるワンタイムのバイヤーよりも、強化されたエクスペリエンスを求めるリピーターたちを優先している。残念ながら、“消費者洗浄(consumer washings)” の増加があり、企業の利益が優先させられている。・・・」。

 

つまり、consumer washingsとは、消費者心理を操作して購入意欲を高めるための、企業の欺瞞的な手段であるようだ。

 

冒頭で触れた「5. 旅行は転換点なのか?」で、Travelportは、今後も旅行代理店は業界唯一の真の小売業者であり続ける考えている。旅行代理店だけが、選択肢の多さと複雑さに悩む旅行者に、必要な透明性とガイダンスを提供し、旅行者にマルチブランドのショッピングを管理できるよう支援し、最良の選択肢を1つの便利な場所に提示することができる。つまり旅行代理店のいわゆる“中抜き” は、発生しないというのだ。Travelportの主たるお得意様は、旅行代理店たちなのだから、このようなことを言うのは当たり前だが、実際は、本当にそうなって行くのだろうか?

 

「13. REDDIT、旅行計画で重要な役割を持っているのか?」は、SNSのRedditが、旅行計画において重要な役割を果たす可能性があると言う。曰く:「・・・Redditのr/travelをはじめとする旅行関連コミュニティが急成長、2024年にはr/travelの閲覧数が前年比32%増加した。・・・RedditはAI機能“Reddit Answers” を導入し、ユーザーの質問にAIが回答するサービスを提供する。・・・また、Googleとの提携により、Redditのコンテンツがより幅広い形で表示されるようになった。将来的にはAIエージェントが、Redditから旅行アドバイスを収集する可能性も示唆されている。

旅行業界にとってRedditは長期的な戦略が必要なプラットフォームであり、特に本物のレビューやコミュニティとのつながりが重要視されている。・・・」

 

OpenAIは、ウェブサイトでのタイピング、クリック、スクロールといった操作が可能なAIエージェント “Operator” を発表した。このツールでは、旅行予約、買い物、イベント、レストラン予約などを検索し、購入手続きまでを完了できる。

Tripadvisor、Booking.com、Priceline、Uber、Hipcampなど複数の企業が、Operatorの開発に協力している。特にTripadvisorは、旅行データとAIを活用し、旅行計画を効率化するためにOpenAIと連携している。また、Hipcampも協力し、自然体験の予約をより簡単にする取り組みを進めている。

AIエージェントの進化により、マーケティングや検索最適化のあり方が問われており、今後のウェブサイト設計も変化する可能性がある。OpenAIはOperatorの改良を続け、将来的にはより多くのユーザーやChatGPTとの統合を目指している。・・・」

 

これらの記事を読むと、“中抜き” はないにしても、チャネルの多様化は否応なしに進み、市場は厳しい競争激化の幕開けとなるだろう。

(編集人)

 

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