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1月27日の週の編集人コメント

 

「15. 元航空会社CIOが外から見ているもの」

元Allegiant航空およびSpirit航空のCIO(最高情報責任者)であった Scott Allard が、航空業界のITに関する課題や自身の経験について語ったインタビュー記事を掲載している。

彼は、航空業界の技術面での誤りとして、クラウド移行への過度な期待があると言う。コスト削減のためにクラウドを導入しても、必ずしも経済的メリットは得られないと指摘。また、レガシーシステムからの脱却に固執するのではなく、その周辺や活用方法を工夫することが重要と述べている。

技術の導入にあたっては、従来の中央集権的な管理ではなく、全社的な協力体制が重要だと述べている。また、権限による押し付けではなく、現場の理解と受け入れが不可欠だと言っている。

そして、CIOが失敗するのは、大規模システム導入が「ITプロジェクト」として扱われ、経営全体の課題として認識されないことが原因と分析。IT部門に閉じこもらず、運用部門と連携し、事業課題の理解を深めるべきだと強調した。

 

要すれば、社内の各部門の横断的コミュニケーションによる情報の共有とその情報の共通の理解が不可欠だと言っている。縦割りでサイロ化された縄張り争い組織ではダメなのだ。失敗なのだ。」

 

かって、航空会社の本社企画部の旅客イールド管理者として、ネット運賃増収を計画したことがある、計画の概要を発表した途端、販売の現場の要である東京支店の営業部から、「そんなことでは売れない!」と一喝され、罵詈雑言を浴びて、あっという間にこの計画を破棄されてしまった苦い経験がある。

「関東軍」と目されていた、この現場との意思疎通が極めて悪かったのだ。

 

日経新聞 2月1日朝刊が、Deep Insightのコラムで「野中郁次郎氏の遺産と『失敗の本質』」を取り上げている。

強く印象に残ったので、冒頭の記事とは直接に関係しないが・・・、どことなく共通点もありそうなので・・・、以下に敢えてその要約を掲載してみた、

 

野中郁次郎氏(知識経営論の第一人者)は、旧日本軍の失敗を分析した名著『失敗の本質』を通じ、日本企業の「過去の成功への過剰適応」が低迷の要因であると指摘した。成功体験に囚われ、変化に対応できない体質が、「失われた30年」を生んだとされる。

野中氏は「知識創造企業」や「SECIモデル」を提唱し、数値やデータ分析に依存しないイノベーションの重要性を説いた。彼は人間を「未来志向で意味をつくる動的主体」と捉え、「ヒューマナイジング・ストラテジー論」を晩年に提唱。経営は単なる計画・分析・ルール遵守ではなく、創造的な人間の営みであると強調した。

また、日本企業の低迷の真因を「計画・分析・コンプライアンスの過剰」とし、行動(実行と改善)を軽視する企業文化を批判。特に、PDCAサイクルが「PdCa」となり、実行と改善が疎かになっていることを問題視した。

ホンダの本田宗一郎氏のように、現場感覚を重視し暗黙知を活用する経営者を評価。SECIモデルを通じ、個人の暗黙知を組織で共有し、形式知化しながら進化させるプロセスを提唱した。実際にエーザイ、ソニー、日立などの企業経営者が彼と議論を重ねた。(ホンダは経営や商品開発について社員が徹底的に討論する「ワイガヤ」の伝統を持っている。)

しかし、日本企業の国際競争力は低下し続け、米テック企業との「知の体系」の差が広がっている。野中氏は、日本企業が自らの「存在目的」を再定義し、知と構想力を磨くことの重要性を訴え続けた。

 

航空会社には、旅客ハンドリングで解消されていない大きな問題がある。

運航スケジュール混乱時のストランド旅客への対応だ。レガシーシステムの更新に合わせて、是非ともこの問題を解消して欲しい。旅行流通業界では、コネクテッド・トラベルによるパーフェクト・トラベルを完成させる動きがあるので、スケジュール混乱した航空便のon-toの予約変更も同時に可能になればもっと良い。

 

もう一つ言わせて貰えれば、長距離便のエコノミークラスの居住性改善だ。10時間超の長距離雨便エコノミークラスには、是非ともフルフラットの座席を導入してもらいたい。

日経新聞 1月29日朝刊38面に、「“寝台バス” 普及へ安全指針 国交省、衝撃吸収材や腰骨部固定 “推し活” 旅費、節約で需要」が載っていた。

こんな寝台を開発してほしい!

(編集人)

 

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